「正直」なデザイン
皆さんは「デザイン」という言葉を聞いてどんなイメージを持ちますか?
おそらく多くの人は「見た目」と思うのではないでしょうか。
いつからか日本では広告やファッションなどのイメージから「デザイン=見た目」「デザイン=ビジュアルを描くこと」というとらえ方が一般的になりました。
では住まいづくりにおける「デザイン」とはどういうものでしょうか。やはり外観や内装など「見た目」のことだけを指すものでしょうか。
今回はこのブログの監修者である設計士のSさんに住まいを「デザイン」することについてうかがいました。
「デザイン」という言葉を多角的にとらえてみると……
――そもそもデザインとはどういうことでしょうか?
S「私は家づくりにとっても、日々の暮らしにとっても、仕事、商売、遊び……何をするにしても、“デザイン”が一番重要だと思っています。
“デザイン”の語源はラテン語の『designare(デジナーレ)』で、その意味は、『ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、
それをさまざまな媒体に応じて表現すること』とあります。
そのため海外諸国では、デザインという言葉は『設計』『問題解決』という意味で使われています。
つまり、『何かの概念や思想にカタチを与えること、目に見えない何かを可視化すること』です」
――一般に“デザイン”という言葉からは、見た目やその造形・造作を思い浮かべますが、“問題解決”という意味があるとは……。
S「数年前に『人は見た目が9割』という本が100万部を超えるミリオンセラーになりましたが、
人間にとって『視覚』から入ってくる情報やコミュニケーションがそれだけの割合を占めているということらしいです。
それこそ、9割の人が『デザイン=見た目』と答えるかも知れません。
それだけ『視覚』が人間に与える影響は大きいということですね。
したがってデザインと聞いて、グラフィックや見た目を連想する人が大半なのもそういう理由なんだと思います」
――すると住まいづくりにおける“デザイン”とは、やはり見た目を整えることが重視されることと言えますか?
S「私は、建築・空間というジャンルのデザインをしていますから、視覚だけでなく触覚、聴覚、嗅覚など他の五感も意識してデザインしています。
味覚も、と思うのですが、料理ではないのでこれがなかなか難しい……。
以前、食品衛生試験適合品で塗装したテーブルをつくって『舐められる家具です! ぜひ舐めて暮らしてください!』とおすすめしたことがありますが、
舐めてくれませんでした(笑)。だって別に美味しくないですもんね……。どうしても『五感の家』って言いたくて。強引でした(笑)。
話は『視覚』に戻って、私がその時に考えたのは、視覚がそれだけ私たちに及ぼす影響が強いのであれば、
視覚を丁寧にデザインすることで、またはないがしろにしてしまうことで、人を何よりも気分良くさせられるし、
何よりも不快にさせてしまうこともあるのではないかと思いました」
脳へうったえかける「デザイン」の力
――“デザイン”には見た目を整えるだけではなく、感情や感覚にもうったえる力があるということでしょうか?
S「ヴィジュアルマーチャンダイジング(消費者が商品を見やすく、購入したいと思わせる売り場づくりを目指す手法)という、
店舗のデザインを研究している方の研究では、
①五感の中で最も言葉で伝えやすいのは、
視覚(75.7%)、味覚(9.9%)、触覚(6.7%)、聴覚(6.0%)、臭覚(1.9%)
②五感の中で最も長く記憶に残るものは、
視覚(71.9%)、聴覚(13.8%)、味覚(7.5%)、触覚(3.8%)、臭覚(3.1%)
③五感の中で最も思いでをよみがえらせるものは、
視覚(74.3%)、聴覚(11.8%)、触覚(4.8%)、味覚(4.6%)、臭覚(4.6%)
④五感の中で最も感動を覚えるのは、
視覚(72.6%)、聴覚(17.6%)、触覚(6.4%)、味覚(3.0%)、臭覚(0.5%)
と、視覚の影響力が圧倒的という調査結果が得られたそうです。この結果はそのまま『脳』へ与える影響、割合と言い換えることもできます。
よくよく考えれば、芸術や美術もまずは視覚に訴えることがほとんどですものね。そこに+αとして、他の四感にも働きかける工夫もありますが」
――感情や感覚を司るのは「脳」ですからね。その脳に良い影響を与えられるのならば、それは良いデザインということでしょうか?
S「かくいう私も以前までは“デザイン”という言葉をとても軽んじていました。
失礼な話ですが、デザイナーという職業に興味も敬意もありませんでした。
それよりも“建築家”や“クリエイター”など、どこか思想や哲学を感じる言い方に憧れていました。
建築・空間、そしてそれ以外の人生や暮らしに関わるすべては“気分良く”“楽しく”なくては意味がないと思っています。
修業やトレーニングならまだしも、家や暮らしが、ましてや一生をかけて創り上げる環境が、“不快”だったり“ストレス”だったり、
さらには“脳への悪影響”を与えるものであっては、建てないほうがマシと考えます」
正直な自分になれるなら、それが良いデザインであり、良い住まい
――気分が良い、楽しい……このような快の感覚を得られるものをつくることが、住まいにおいてのデザインの第一義ということですか?
S「これらのことを今まで何度も自問自答してきましたが、結局いつも『結論』は一緒です。
これまで何度考えても、何度考えても、行きつく先は……“好き”であること。
その家が、その暮らしが、その環境が。これ以外にないと思います。これがすべてだと思います。
理屈や理論や言葉は、見る方向や捉え方によって180度変わります。工学や科学や医学など、それが重要なジャンルもあると思いますが、
建築・空間においては、どうか“好きと言う感性”を一番の優先事項にしてほしいです」
――最後に、これから自分たちの住まいをつくりたいと考えている読者の方へ、設計士としてのアドバイスやメッセージをお願いします。
S「家は人生のベースですから。私たちが生きていき、子どもたちが育っていく環境ですから。
“好き”で“心地良ければ”ほかは何もいらないと思います。
どうか“好き”な家を、自分に正直な“デザイン”で実現してください。
私たち建築士は、そのための協力は惜しみませんので!」
私たち「ウィンウィンホーム」では、ほぼ毎日、住まいづくりを始める方に向けて無料相談会を行っています。
「家」に関することならなんでもご相談を受け付けています。
まずは理想の住まいやこだわりについて、私たちと気軽にお話ししましょう。
TELの方は、0120-51-7600
mailの方は、win@msk-k.cc
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皆さんの暮らしがより豊かに、そして、より快適になることを願っています。